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夜の仕事で成功した『代表』から教わったこと

付加価値をつけるホストクラブ

僕は夜の仕事を通じて様々な人の人生に触れたと思っています。
恐ろしい場所だと思う方もいるかもしれませんし、僕の場合は実際に恐ろしい目に遭わされたわけですが……。

裏社会とも言える風俗業界で、お店の経営者と知り合うことは多くありました。
彼らから教わったことは、たくさんあります。

「この業界で成功するには何をしたらいいですか?」と、代表取締役に質問したことがあります。
お店の代表は、僕の質問にこう答えました。

「そうだなぁ……まずはお金の動きを把握しなさい昼の仕事も夜の仕事も関係なく出世するために必要な知識だからさ」
なんとなく働いていた僕にとって、その言葉は心に響きました。
いくら入ってきて、いくら出て行くのかを意識するようになってから、僕の働き方は変わりました。

知ること、学ぶこと、営業すること、お客様と話をすることに積極的になったのです。
自分のお金に繋がらないお客様にも話しかけて、別のお客様を紹介してもらったこともあります。
その努力がいくらになるかを実践することは、仕事をする上で重要なことだと感じたのです。

何故ホストクラブに人が集まるのか

500mlのコーラを1000円で販売するには?
という話をネット上で、たまに見かけます。
『100円のコーラを1000円で売る』という本が話題になったこともあって、ビジネス関連の話題が出たときに時折耳にするお話です。

小銭を出せばコンビニで買えるものを1000円で販売することは、かなり難しいことです。
普通の人がアイデアを駆使して販売するとなると、詐欺と言われるようなことに発展する可能性もあり得ます。

ちなみに100円のコーラを1000円で販売する方法は、砂漠でコーラを販売する、高級リゾート地で売る、または高級ホテルでグラスに入れて販売するなど、『商品に付加価値を与える』が答えでした。
マーケティングの世界での話ですので、実際にピッタリこの通りのことが行えるとは言い切れませんが、ホストクラブでは100円のコーラを1000円で販売していました。

コンビニで仕入れるホストクラブ

代表は僕をよく食事に連れて行ってくれました。
そういった席で仕事のことや、ビジネスの知識、考え方などを教えてもらったのです。

「せっかく普通の商品があり得ない値段で売れる場所にいるんだから、バンバン売って自分の稼ぎに繋げたらいいよ」
ホストクラブには付加価値があるという言葉でした。
一般相場の10倍の値段がつく付加価値を持ったホストクラブのサービスについて僕は考えさせられました。

ホストクラブでは、深夜に在庫がなくなったらコンビニで買い足しました。
普通の商品が、あり得ない値段で売れていたのです。

お客様の欲望を満たす

夜の世界で未熟だった僕は煮詰まって思考の迷路に迷い込んでしまいました。
そんな僕を見て代表は、さらにこんなことを教えてくれました。

「客の欲望を満たせばいいよ。客の欲望を満たせば幸せな気持ちになってお金を払ってくれるから」
この言葉を受けて僕は、営業中に他の席を見て観察しました。
どの席でもお客様の欲望を満たしています。

抱きしめたり、キスをしたりという疑似恋愛や、友達同士で飲むときのように一緒に騒いでいる席などです。
ホストクラブでは、様々なお客様の欲しいものを提供するお仕事だと理解しました。
欲しいものを満たしてもらえるので、お客様がホストクラブに通うのです。

お酒はメイン商品ではない

お客様としてお店に来てださる女性たちは、7割ほど同業者です。
同じ風俗業界で働く女性たちは、同じような業態で、同じ商品を扱っています。
ですから、お酒の仕入れ値は筒抜けです。

お客様は大抵の場合、「この店ドンペリいくら?」と注文したいお酒の値段を聞いてきます。
そして主要なお酒の値段を把握し終えてから本格的な注文を行うのです。
お店によって値段が違うことは当たり前のことでした。

パフォーマンスとしてのお酒

先ほどまでのお話からずいぶん後の話ですが、僕はお酒の仕入れに関わっていました。
仕入れ値は現在Amazonで販売されている値段とほぼ同額です。
定価で仕入れても利益が出るように10倍ほどの値段が付けられていました。

夜の世界において、お酒は商品ではなくパフォーマンスに使う道具です。

  • 稼いでいるというアピール
  • 自分のために体を張る男を見たい
  • イケメンとのきっかけが欲しい
  • 裏社会に顔馴染みがいる気持ちになりたい

など……。
考えられる理由は様々ですが、それぞれがお酒を使って表現するのが水商売でした。
夢を売る仕事だとよく言いますが、夢の実態は自己顕示欲であることが分かっていただけるかと思います。

このように考えると、お酒はリゾートや高級ホテルで販売されている商品と同じように『付加価値』が付けられたものだと言えるわけです。
飲んで酔っ払うことが目的のお酒とは種類が違ったのです。

嘘のためのお酒

お酒を飲んだときには嘘が付きものです。
少し大げさに話しをしてしまった経験のある人もいるかもしれません。
お酒を飲んだことによって罪の意識が薄れ、ついつい口からこぼれてしまうものなのでしょう。

夜のお店では、未成年者がお店に来ることもありました。
彼女たちがお店に来るときは、決まってお姉さんや、知人の身分証で身分を偽って入店しようとしました。

お客様のことを「身分証を提出できない子」を略して”みてこ”と呼んでいました。

代表は彼女たちの存在に頭を悩ませているようでした。
未成年者にお酒を出したと分かってしまえば、逮捕されるのは代表ですから無理もありません。

「営業中、客の言うことは真に受けるな。嘘をついている前提で接客してくれ」
みてこ対策のために開かれたミーティングで、代表が従業員全体に言った言葉です。

どんな仕事でも嘘を扱う場面はありますよね。
理由は様々ですが、仕事であれば場合によって嘘をつくことも許されてしまうものです。

お金になればそれで良いという時代もありましたが、法令が厳しくなったことで保険証での入店を断るようになりました。

失業の危機、ハニートラップ

”みてこ”である彼女たちは、何故かお金を持っていました。
「自分が行っているビジネスで成功した」「家がお金持ち」「凄く稼げる仕事をしている」などと嘘をついてホストにハニートラップを仕掛けてきます。

狙っている男性を落とすためなら、どんな嘘でもつきます。
『付加価値』を付けている側のホストが、そんな嘘に引っかかってしまったらメンツが潰れるどころか、営業停止処分などもあり得ました。
未成年者にお酒を提供したとして逮捕された経営者は、かなりいます。

”みてこ”にとっては恋愛の駆け引きだったのですが、働く側にしてみると失業してしまうほどの大きなリスクとも言えました。

彼女たちがいつお店に来店するかは時の運ですから、新人教育では入店初日の注意として説明されます。
お店に入り込むスキルが高い”みてこ”に対して、ホストクラブは一斉に「身分証は顔写真付きのものに限る」というルールを作りました。

これはお店の『付加価値』を維持するためのルールだったのです。

お店に癒やしを求めてくる人にとって、ルール違反を行って潜り込むことは大きな裏切りになりました。

「ルール違反は普通の客にとっては裏切り行為だから、自分を信頼して指名してくれてる人たちをガッカリさせないように」
代表はミーティングで、このように強く強調しました。

ホスト側は、高額なお金をいただく代わりに彼女たちの自己顕示欲を満たさねばなりません。
それがお店の『付加価値』だからです。
欲望を裏切ってしまえば付加価値が消え失せてしまうことを教えていました。

まとめ

仕事を行う上で、自分たちが取り扱う商品を知ることは何よりも大切なことです。
その売り方についても繰り返し考える必要があります。
自分の話が面白くなければ、面白くないことを売りにしなくてはなりません。

見ている視点によって『付加価値』を付けるということは、日常的に行われていました。
それを上手に扱う知識や技術が先輩から後輩へと受け継がれていたのです。

自分の弱点をプラスに変換する能力は、どの業界でも必要なことだと思います。
また、業態によって様々な側面を持つこともあるでしょう。
それらをどう使うかは、マーケティングという学問で教えています。

僕がそんな知識を抱えていても宝の持ち腐れではありますが、みなさんに体験を通じてシェアすることで誰かの利益になるのではないかと考えてシェアすることにしました。

今よりもずっと昔の古い話ですが、面白く読んでいただけたら幸いです。

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